2015年9月3日木曜日

電力工学専門誌PEi【核産業ニュース】IAEA、フクシマ最終報告を公表


Power Engineering International (PEi)
[電力工学インターナショナル、世界の発送電・専門家向け月刊誌・ウェブサイト:Wikipedia

IAEA、フクシマ最終報告を公表

201593
ティルディ・ベイアー Tildy Bayar

国際原子力機関(IAEA)は今週、日本2011フクシマ核惨事に関する総合的な最終報告を公表した。

IAEAの天野之弥事務局長は報告の巻頭言で、この報告は「人的、組織的、技術的要因を考察したうえで、なにが起こったのか、なぜ起こったのか、理解する素材を提示しており、世界各国の政府、規制機関、核発電事業者が行動の指針にできる必要な教訓を提示しております」と述べている。

IAEAは報告で、施設の脆弱性は単なる技術にとどまらないと指摘する。報告は、「人、組織、技術のあいだの複雑な相互作用を考慮に入れた統合的な手法が要請されている」ことを強調している。

この線にそって、反応炉が自然災害時に備えて設計され、安全性が評価された実状を考察するとともに、報告はまた、事故当時の安全管理手段、日本の核規制要項の実効性、人的および組織的要因、全般的な安全文化を考察している。

報告は、判明したことのひとつとして、外的な危険に対する福島第一原発の脆弱性が「系統的・統合的な形で再評価されることが、稼働期間を通してなく」、核発電事業者、東京電力株式会社が「津波に起因する複数電源喪失および冷却停止に完全な備えをしていなかった」と指摘している。

施設の運転員らは、「したがって、適切な訓練を受けたこともなく、関連するはずの過酷事故演習に参加したこともなかった」し、事故のあと、「運転員らが使えた設備は、悪化した施設の状況では、使い物にならなかった」。

IAEAは、「核緊急事態と自然災害の同時発生に対処するために連携して行動できるような備え」がなかったと指摘し、「どの組織に責任があるのか、どの当局が遅滞なく安全問題に対処するための拘束力ある指示を発するのか、完全に明確になっていなかった」と論じる。

報告の技術書によれば、建設に向けた事前調査は、建設用地が「地震活動の少ない地域」にあると結論づけていた。それでも、地震防護対策は実施されていた。報告は、311日の地震は「(苛酷さの)最高レベルの基準に合致する」ものであり、実施されていた安全対策は「制御室の状況の点検、構造、システム、構成要素の点検および施設全域巡視の実施の責任」、その他を求めるものだったと記す。

報告によれば、追加的な安全対策も実施されていた。自動減圧機能が「最近」26号炉に追加されていた(1号炉はすでに2基の高圧炉新冷却システムを備えていたので、追加されなかった)。冷却水を圧力容器に注入するための接続線と電動弁が設置されていた。過剰加圧による反応炉格納容器の破損と放射性物質の放出を防ぐために、新たなベント経路が設置されていた。隣り合う反応炉(1号炉と2号炉、3号炉と4号炉、5号炉と6号炉)のあいだに電源相互連結線が設置され、全電源喪失のさいに互いに電力を供給できるようにしていた。また、2007年の新潟・中越沖地震の教訓にもとづき、免震建屋のなかにガスタービン発電機を備えた独立電源設備が建造されていた。

しかしながら、津波による冠水が現場の電源を破壊したあと、これら緊急時システムの多くが作動しなくなり、運転員らには、機能不全の装置が残されただけであり、監視技術も機能しなかった。「交流および直流の全電源の喪失に備えた対策がなく」、施設の運転員らは「このような状況下で、現場全電源喪失に対処する方策に関して、具体的な指示を持ちあわせてはいなかった」と報告はいう。

1000ページを超える技術書と併せて発行される報告は、42か国の核専門家180名によってまとめられた。報告は9月中旬に開催されるIAEAの次回年次総会に提出される。
 
【資料】


PEi記事】

2015421日火曜日


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グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告



2015年9月2日水曜日

グリーンピース【プレスリリース】放射能リスクを矮小化し、科学をないがしろにするIAEAフクシマ報告







放射能リスクを矮小化し、科学をないがしろにする
IAEAフクシマ報告

プレスリリース 201591

201591日付け東京発】831日(月)に公表された国際原子力機関(IAEA)フクシマ報告は、フクシマ核惨事が環境および健康にいまもなお、もたらしている影響を矮小化している。グリーンピース・ジャパンによれば、同報告は進行中の核惨事を正常化するという安倍政権の政治的意図に迎合している。

IAEAは、フクシマ惨事の結果として、識別できる健康への影響は予想されないと結論づけていますが、放射線量と長期的影響の両方に関して、重要な不確実性が残ると認めています。災害勃発直後の日々に住民たちがどれほどの放射能に被曝したのか、だれにもわかりません。線量がわからずに、影響はないと結論することはできません。これに反したことを言えば、科学ではなく、政治的な発言になります」と、グリーンピース・ジャパンの世界エネルギー・キャンペーン担当幹部、ケンドラ・ウルリックは述べた。

「国際放射線防護委員会(ICRP)でさえも、放射能被曝に安全なレベルは存在しないと結論づけています。引き上げられた放射能レベルを核事故被害者たちに意図的に押し付けるのは、正当化できませんし、危機勃発後5年以上たってから、癌症例が増加したチェルノブイリの前例をわたしたちは見ていますので、なおさらのことです。

IAEA報告は、核事故のあと、ものごとが正常に回復すると思わせようとする安倍政権と世界核産業の政治的意図を積極的に支えています。しかし、被災者たちが戻るように促されても、暮らし向きにしろ、被曝線量率にしろ、正常なものはなにもありません。明らかなのは、原子力規制委員会が川内原発の核反応炉の再稼働を許可するために未解決の安全問題を無視していることからもわかるように、日本政府がフクシマ核事故の教訓をまったく学んでいないことです」と、ウルリックはIAEA報告の3ページに関連して語った。

日本政府は、次々に汚染レベルがより高くなる地域で、避難指示を組織的に解除しており、フクシマ被災者が被曝を余儀なくされている放射線許容限度なるものに対する一般人の受忍限度を高めようとしている。

たとえば、グリーンピース・ジャパンが今年7月に実施した調査によれば、福島県飯舘村の森林と土地における放射能汚染が、住民が安全に帰宅するのが不可能であるほどに、広範に拡がり、高レベルであることが判明している。除染作業はわずかな地域に限定されており、膨大に広がる汚染された森林と河川域に対応する意図すらない。元住民の多くが環境汚染のために以前の生業に就くのが叶わないことを考えると、IAEA報告がほのめかしているように、被災者の生活にとって所得の不足が許容できる「制約」であるというのは、笑止千万である。

グリーンピース・ジャパンは5月にIAEA報告要約版に対する分析論文を公表しており、これはいまだにIAEA報告完全版に対する当方の予備的査読として適用できる。グリーンピースは目下、フクシマ報告と併せて公表された複数の技術報告および付属文書を検証中である。

【メディア連絡先】

Kendra Ulrich, Senior Global Energy Campaigner, Greenpeace Japan, kendra.ulrich@greenpeace.org+81 80 5088 3351

Shaun Burnie, Nuclear Specialist, Greenpeace Germany, sburnie@greenpeace.org+44 7716 501238

Elena K. Johansson, Global Communications Associate, Greenpeace Japan, elena.johansson@greenpeace.org+81 90 6478 5408

Greenpeace International Press Desk, pressdesk.int@greenpeace.org, phone: +31 (0)20 718 2470(available 24 hours)

【脚注】

(1) “The Chernobyl Catastrophe: Consequences on Human Health” Greenpeace International. [グリーンピース・インターナショナル『チェルノブイリ惨事~人間の健康に対する影響』]2006.

(2) 放射線被曝によるリスクを計算するための国際的に認められたモデルである線形閾値なし(LNT)モデルは、放射線被曝に安全なレベルが存在しないと定めている。それに加えて、国際放射線防護委員会(ICRP)は2005年報告において、「…特定の体組織における放射線関連の癌の場合、低線量閾値の存在は考えられないようである一方、普遍的な閾値の存在を裏付ける証拠はない。LNT仮説は依然として、高線量の場合に推定されるDDREF(線量・線量率効果係数)の不明確さと併せて、低線量および低線量率の場合における放射線防護の堅実な基礎である」。参照:Low-dose Extrapolation of Radiation-related Cancer Risk.”[『放射線関連の癌のリスクに関する低線量外挿法』] ICRP Publication 99. Ann. ICRP 35 (4), 2005. Publication 99.

(3) “The IAEA Fukushima Daiichi Accident Summary Report: A preliminary analysis.” Greenpeace Japan[グリーンピース・ジャパン『IAEA福島第一原子力発電所事故報告要約版:予備的分析』]2015. [下記の【関連記事】「グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告」参照] 

Categories nuclear


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グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告


ロシア・ツデー【IAEA報告】グリーンピースが「科学でなく、政治的発言」と酷評






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グリーンピース、IAEAフクシマ報告を
「科学でなく、政治的な発言」と酷評

201592

© Damir Sagolj / Reuters

グリーンピースはフクシマ惨事に関する国際原子力機関(IAEA)の最新報告に対して、放射線被曝が子どもたちの放射線リスク増大の原因になったとは「考えられない」とするその主張は、科学というより、政治的な発言であるとして酷評した。

IAEA831日(月)、事故の直後、子どもたちが受けた放射線量については不明確であるものの、「小児甲状腺癌の増加が事故に起因するとは考えられない」と発表した。


グリーンピースは91日(火)、この国連機関の結論は「政治的」な発言であると糾弾した。

「災害勃発直後の日々、住民たちがどれほどの放射能に被曝したのか、だれにもわかりません。線量がわからずに、影響はないと結論することはできません。これに反したことを言えば、それは科学ではなく、政治的な発言になります」と、グリーンピース・ジャパンの世界エネルギー・キャンペーン担当幹部、ケンドラ・ウルリックは述べた。

一般市民の潜在的な被曝に関して、信頼できるデータが存在しない理由の一端は、IAEAの記述によれば、20113月の産業災害にかかわる放射線学的な影響に対処し、記録するはずの関係当局の混乱と準備不足が原因である。IAEAは、核施設側の安全性と設計の「弱点」と併せて、人間に対する放射線の影響を防ぐために、政府が迅速かつ一斉に安定ヨウ素剤を配布し損なったと指摘した。
グリーンピースは、こうしたことは東京電力と日本政府の両者が責任を負うべき明白な失策であり、核惨事後の放射能被曝には安全なレベルがないことには疑う余地がないと指摘した。

一方、日本のメディアは、さらにもう一人の子どもが甲状腺癌と診断され、事故発生時点で未成年だった福島県民385,000人のうち、子どもの犠牲者の人数が104人になったと報道した。[訳注]


福島県「県民健康調査」検討委員会は同時に、「現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくい」と述べたと朝日新聞が報じた。[訳注]

グリーンピースは、IAEAに対し、フクシマ放射性フォールアウトのもたらす潜在的な危害について真実を隠蔽することに加担していると非難する。

IAEA報告は、核事故のあと、ものごとが正常に回復すると思わせようとする、安倍政権と世界核産業の政治的意図を積極的に支えています」と、ウルリックは語った。彼女は、日本政府が、さらなる核被曝リスクに晒されるにもかかわらず、福島の住民の帰宅にゴーサインを出したと糾弾する。

グリーンピースはまた、国内の原子力発電所を再稼働させる政府の動きを批判した。日本政府は先月、避難者に最長3か月間の一時帰宅を許す措置を承認した。この措置は、避難指示を解除し、人びとに元の居住地に帰還するように奨励するための一歩になる。

「しかし、被災者たちが戻るように促されても、暮らし向きにしろ、被曝線量率にしろ、正常なものはなにもありません。引き上げられた放射能レベルを核事故被害者たちに意図的に押し付けるのは、正当化できませんし、危機勃発後5年以上たってから、癌症例が増加したチェルノブイリの前例をわたしたちは見ていますので、なおさらのことです」と、ウルリックはことばを続けた。

この環境NGOは、7月に調査した結果、記録された福島県内の放射能汚染レベルは、住民が帰還するには「不可能」であるほど、「高レベル」であったという。

日本政府は、福島第一原発から20キロ圏外の放射能レベルが高い地域に加えて、20キロ圏まで広がる避難区域の多くの部分に対する避難指示を2017年春までに解除することを計画している。現在、10市町村の約79,000人が避難したままである。

[訳注]

訳注指定箇所の記述が腑に落ちないので、引用出処を検索してみると、次の朝日新聞記事だった――

2015831

福島県は31日、東京電力福島第一原発事故による健康影響を調べる甲状腺検査で、今年4月から6月末までに新たに1人が甲状腺がんと診断されたと発表した。検査対象となる事故当時18歳以下だった約38万5千人のうち甲状腺がんと確定したのは合計104人になった。

2011年から昨年3月末までの1巡目の検査結果を基準に、2巡目以降の検査結果と比べ、がんが増えるかどうかをみる。これまで1巡目検査で98人、今年度末まで続く2巡目検査で計6人ががんと診断された。

県検討委員会は「チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんになった子どもの被曝(ひばく)線量や年齢といった過去の知見を踏まえると、現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくい」としている。(大岩ゆり)

***引用おわり***

この記事は、意図的および/または不用意に、検討委員会で公表された資料の内容のごく一部だけを切り取って、報道しており、誤解を与える(署名記者、大岩ゆり氏はその筋で「有名」)。詳しくは、次の市民メディア記事および/または検討委員会配布資料を参照のこと――



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グリーンピースが読み解くIAEAフクシマ報告