2016年2月11日木曜日

【世界の潮流】全米15,000か所あまりのウラニウム廃鉱が飲用水を放射能汚染 @truthout






全米公衆衛生政策の発動が求められる水の汚染

201625日金曜日
Truth-out【論説】マーガレット・フラワーズ、ジル・スタイン
Friday, 05 February 2016 00:00 By Margaret Flowers and Jill Stein, Truthout | Op-Ed

サウス・ダコタ州のライリー・パスに結集した「鉱山を浄化しろ!」要求チーム。手前に活動家のチャーメイン・ホワイト・フェース(Charmaine White Face)。 (Photo: Ellen Davidson)

ミシガン州フリントの住民たちがこうむっている水の汚染を見過ごすのは難しいことである。テレビが、黄色やオレンジ色、あるいは茶色い水の瓶を掲げた一家の様子を見せている。その人たちは、リック・スナイダー(Rick Snyder)知事が2014年はじめ、鉛管からの浸出を防ぐための防蝕剤を添加することもなく、給水源をヒューロン湖からフリント川に切り替えるように命じてからほどなく、水質の変化を目で見て、舌で感じることができた。献身的なヴァージニア工科大学の研究者たちのおかげで、フリントの水の鉛濃度が上昇していることが暴露された。

全米的な関心がフリントに向けられてから、他の都市からの情報が同じ問題を伝えていることがわかり、脚光を浴びるようになった。オハイオ州セブリング水道の鉛汚染、オハイオ州でも確認]も、水の鉛濃度が上昇しており、住民が飲まないように警告されている町である。また、ミシシッピ州ジャクソンでも、試験結果が6か月前に出ていたにもかかわらず、最近になって水道の高レベル鉛汚染が暴露された。

州当局が公務員にボトル入り飲用水を提供していたにもかかわらず、環境保護庁(EPA)は、水道中の高レベル鉛について知ったさい、フリントの住民には知らせなかった。州知事もまた、2014年はじめの水源切り替えから、ほんの数か月後に、住民が苦情を申し立てたとき、ゼネラル・モーターズをヒューロン湖に再び関連づけて説明した。州当局は知りながら、フリントの住民に知らせることなく、毒性の水――EPA基準で「有害な廃水」と判断される水――が供給されることを容認していたのである。

おそらく眼に見えにくいからなのだろうが、語られることもない重大事が、数十年来、進行している全米の水汚染危機である。この危機は、目に見えず、味がなく、大手メディアが報道しようともしない。この汚染の原因は、米国の秘匿されたフクシマ、すなわち、廃鉱になったウラニウム鉱山15,000か所あまり、その他、全米各地のエネルギー生産に関連する排出源から漏れ出す放射性物質と重金属類である。

20144月、サウス・ダコタ州の小学校における放射線レベルの測定。(Photo: Klee Benally)

わたしたちは、すべての飲用水源を包み隠さずに評価するための国民的な公衆衛生体制の発動、そして住民の健康とわたしたちの給水の将来を守るための計画を必要としている。水は、放射能、ならびに鉛などの重金属類の検査を受けるべきである。それに加えて、わが国の汚いエネルギー・システムの有毒な副産物もまた、わたしたちが、よりクリーンで維持可能なグリーン・エネルギー経済に移行する必要がある数多くの理由のひとつになる。

聞いたこともない最大規模の核事故

たいがいの米国人は、19793月のスリーマイル・アイランド原子力発電所事故について知っている。公式報告は「ささいな」量の放射能が放出されたといっているものの(後にこの過小評価は反証されたが)、これは「米国最悪の核事故」と呼ばれている。TMI事故の3か月後、ニューメキシコ州チャーチ・ロックで勃発した、実際に米国最悪の核事故について知っている人はごくごく少数である。これはたぶん、主としてナバホ(Diné)ネーションの人びとに影響を与えただけだからだろう。

1979716日のこと、ウラニウム精錬所の選鉱クズ貯蔵池の壁が崩壊し、プエルコ川の支線、アロヨ・パイプラインに9300万ガロン[35m3]の放射性廃水が流れこんだ。廃水はプエルコ川を80マイル流れ下り、アリゾナ州に達した。驚くべきことに、この漏出事故はメディアに報道されなかっただけでなく、ニューメキシコ州知事が緊急事態の発令を拒否したことも特筆しておくべきである。プエルコ川沿いの人びとが事故について告げられるまで、何日もかかり、人間や家畜のために水を使わないように警告されたにもかかわらず、じゅうぶんな浄水を入手する手立てを与えられなかった。

精錬所の下流に住む人びとは今日にいたるまで、ウラニウムやその他の放射性元素、重金属類で汚染された水を飲んでいる。ディネ・ノー・ニュークス(Diné No Nukes)の共同創立者であり、ノザーン・アリゾナ大学博士課程の大学院生、トミー・ロック(Tommy Rock)は、ニューメキシコ州チャーチ・ロックの周辺の人びとが飲んでいる水を検査してきた。井戸の一部で――規制されており、定期的に検査を受けている井戸でさえ――高レベルのウラニウムが見つかっている。

20161月、米国農業省の職員らと面会するディネ・ノー・ニュークスのトミー・ロック。
(Photo: Klee Benally)

ウラニウム濃度が最高限度の2倍のレベルを示す井戸のひとつは、千人の生徒が学ぶアリゾナ州北部のサンダース統合学区に給水している。ロックが教えるまで、地域の住民は高濃度のウラニウムのことを知らなかった。

ディネ部族の一員であるサンダース住民、トニア・バルー(Tonya Baloo)は、「州と連邦の規制当局者らは長年にわたり汚染について知っておらず、わたしたちの地域の人たちは、知らせてもらえずに、この汚染された水を使ってきましたので、ウラニウムによる長期的な慢性被曝について心配しています」と語った。ロックはいま、サンダースの人たちと協力して、清浄な水を探している。

ナヴァホ・ネーションの中と周辺に、閉鎖されたウラニウム鉱山が約1,000か所あり、そのうち浄化されたものはごく少数である。そのうち、どれひとつとして、適切に管理されていない。アリゾナ州に住む「鉱山をクリーン・アップ!」(Clean Up The Mines!)運動世話人、クレー・ベナリー(Klee Benally)はこの状況を「毒性景観化」と呼んでいる。ベナリーは、ゴールド・キング鉱山の漏れが昨年8月、ナヴァホ・ネーションを流れるサン・ファン川の流域215マイルを汚染しており、有毒廃棄物がさらに多くの川を破壊する前に、廃鉱山を浄化する必要の緊急性をなおさら浮き彫りにしていると付言する。

ウラニウムは、核発電所の動力源や核兵器の製造に使う放射性の金属である。採掘のさい、放射能の85パーセントが岩屑に残る。その廃棄物と露出された鉱石は数十万年にわたり放射線を出しつづける。ウラニウムが崩壊して、最終的な形として鉛になるにつれ、ラドン・ガスを放出し、これが肺癌を発症させる。汚染された水を飲んだり、汚染された埃を吸引したり、汚染地域の産物を食べたりして、ウラニウム、その他の放射性金属で被曝すると、癌、先天性異常、腎臓疾患、自己免疫疾患の原因になる。子どもたちと年配者が最も重大な影響をこうむる。このような鉱山が、米国内と世界の多くの国ぐにに食糧を供給する米国の穀倉地帯に位置している。

2年近く前に「鉱山をクリーン・アップ!」運動が発足したとき、わたしたちはブラック・ヒルズ防衛団(Defenders of the BlackHills)のクレー・ベナリー、チャーメイン・ホワイト・フェースとともにサウス・ダコタ州のウラニウム廃鉱の視察旅行に出かけた。廃鉱の多くは坑道の口を開いていた。わたしたちが訪れた廃鉱のひとつは、サウス・ダコタ州ラドローの小学校に非常に近い場所にあった。わたしたちは高レベルの放射線量――運動場で毎分150カウントあまり――を測定した。

ホワイト・フェイスは長年にわたり、ノース・ダコタ、サウス・ダコタ、ワイオミング各州、それにネブラスカ州各地を包みこむグレイト・スー・ネーションで、放射能汚染に対する意識を高めるために活動してきた。彼女はアメリカ疾病管理予防センターに調査を要請したが、該当地域内の人口が足りないと告げられ、拒否された。それでも彼女は、人びとが悪影響をこうむっていると確信している。鉱山に近接する地域社会は、高い割合の癌と流産で苦しんでいる。

ホワイト・フェイスもまた、トミー・ロックと同じように、飲用水を検査しており、高レベルのウラニウム、それにEPAが規制していない放射性金属であるトリウムを検出している。ウラニウムの組成から、それが天然起源のものではなく、廃鉱に由来するものであることがわかる。飲用水が汚染されていても、他に選択肢はないので、地域の人びとは飲みつづけることを余儀なくされている。これが数十年来の習わしなのだ。

20161月、環境保護庁舎の前でシュプレヒコールを唱えるクレー・ベナリー。(Photo: DC Indymedia)

ホワイト・フェイス、ロック、ベナリーは最近、大平原の南西部と北部の先住民らとともにワシントンDCに出かけ、放射能汚染に対する警鐘を鳴らした。彼らは、この全米的な問題の影響を国民に警告しようとしているので、「鉱夫のカナリア」を自称している。15,000か所あまりのウラニウム廃鉱山に加えて、他にも監視されていない放射能汚染源が存在している。

米国最大の炭鉱であるワイオミング州のブラック・サンダー炭鉱は、全米石炭産出量の40パーセントをまかなっている。その石炭は、ウラニウムが混ざっており、東部と西部の両方面に出荷され、発電所で燃やされて、放射能混じりの石炭灰になる。フラッキングもまた、バッケン油田地帯やその他のシェールガス地帯のフラッキング井戸の廃水が地下深層から放射性金属を運び上げるので、心配の種になる。この排水は野外のプールに蓄えられ、時おり、水路に排出されており、凍結や吹雪のさいには、道路に散布されている。

国家的な解決を要する全米的な問題

      レッド・シャート村で記者会見に臨むチャーメイン・ホワイト・フェース。(Photo: Jill Stein)

この水汚染危機を解消するためには、緊急の公衆衛生措置が必要である。放射性物質を含む、水の汚染物質を定期的に検査しなければならない。懸念材料があれば、ただちに国民に知らせなければならない。公共用水が飲用にならない場合、影響を受ける人口の規模に関係なく、飲用水を提供しなければならない。汚染源は浄化しなければならない。

こう言えば、大仕事のように聞こえるが、物事の裏面を考えてみよう。ミシガン州のスナイダー知事は資金を惜しんで、フリント市の水源を切り替えた。しかしながら、その決定の結果、端から正しい施策をしていた場合に比べて、ずいぶん高上りになった。問題に対処するため、州政府はすでに2800万ドル[32億円]の予算を認めている。フリントの市長によれば、老朽化した市内の水道管を交換するために15億ドル[1700億円]に達するコストがかかるだろうという。中毒性のある鉛に曝露された子どもたち6,000人ないし12,000人のために、高額の医療費がかさむだろう。この危機のコストは、総額100億ドル[11300億円]と見積もられている。

フリントの水危機で曝露された問題のひとつが、水を検査し、その結果を広報する体制の不備である。一部の地方自治体はEPAの指針に違反するような検査を実施することで、清浄な水を求める声に対応している。水がきれいであると知られている地域で検査したり、検査の前に水道管内の水を抜いておいたりしているのだ。英紙ガーディアンの記事によれば、「米国水道協会(AWWA)に委託されて、(2015年に)公開された研究論文は、鉛製水道管の内部の水を直に検査していれば、9600万人に達する米国民が危険なレベルの鉛を含有する水を飲んでいる可能性があると判明したであろうとする知見を記していた」という。

さらにもうひとつの問題になることだが、水道事業者が、地域のEPA規制当局のよる適正な監督もなしに、みずから検査を実施している。このありさまが、米国でしばしば見受けられる筋書きである。規制当局と規制を受けているはずの事業者の緊密な関係の結果が、締りのない監督というわけである。

2015年のこと、あるEPA作業部会が水に含まれる鉛および銅のモニタリングに関する勧告書を提出した。その勧告内容はいまだに採用されていない。その実施は、急を要している。また、水の放射能検査を実施し、国民を水の放射能汚染から守るための規則を定める特命部会を設置する必要もある。

トミー・ロックは、事業者らが厳しい必須要件を嫌ったので、水の放射能汚染基準が勧告の当初案よりも高く設定されており、しかも彼らは放射性汚染物質の最大許容レベルを引き上げるように働きかけていると報告している。この動きを阻止しなければならない。社会的責任を果たすための医師団」報告も、「食品や水であれ、その他であれ、放射性核種による被曝の安全なレベルは存在しない。以上、終わり」といっているのだから。

水系への、ウラニウム、その他の放射性金属類の漏れを止めるための手段、すなわち放置された数千か所のウラニウム鉱山の浄化を実施しなければならない。目下、均一高水準の鉱山浄化を求める法制が起草されている。この法案について、このリンク先<CleanUpTheMines.org>で詳細を学び、賛同することができる。

水の確保は公益

ライリー・パス鉱山の警告標識。(Photo: Jill Stein)
浄水は生活必須品である。水がなければ、人びとは生存できない。わたしたちの給水システムの脅威になるものは、汚染の他にも、気候危機、過剰消費、私営化など数多くある。

水はわたしたちにとって、またたく間に最も貴重な資源になろうとしており、万民の基本的要求に応えるに足る量の水を確保するためには、総体的な形の管理が必要になる。

わたしたちは医師として、わが国の水の将来について懸念している。フリントの水危機が、必要とされる給水基盤のタイプ、水の所有と管理の形など、浄水を守るための最善の方策について、全米レベルの公開討論の機運を喚起すべきである。

わたしたちに気候危機という現実がのしかかっており、企業は水を価値が増大する商品としてみている。2013年時点で、米国の水道システムのほぼ70パーセントが私企業に所有されている。食品&水ウォッチ(Food & Water Watch)の報告によれば、民営水道企業は高めの水道料金を請求しており、劣悪な建設材料を使ったり、人手不足のまま済ましたりするなど、手抜きをしているという。企業は水を公共財として扱わず、投資家が利を稼ぐ目玉に使うものなので、水道事業の民営化は阻止しなければならず、振り出しに戻すべきである。

わが国の水の含まれる放射性金属の目に見えない危機は、化石燃料と核エネルギー資源の採掘がわが国の水の品質と供給余力におよぼしている影響の問題を浮き彫りにしている。搾取型のエネルギー産業は、途方もなく大量の水を消費し、化学物質と放射性金属類で水を汚染している。このことは、わが国の壊れやすい水の将来を守ることが、二酸化炭素を排出せず、核エネルギーを使わないクリーンでグリーンなエネルギー経済に速やかに移行することであることを意味している。

わたしたちは、この貴重な必需品、浄水を管理するための全米プランを必要としている。そのプランは、協調的でありながら、分散型である意思決定、透明性の確保、地元地域住民の参与を保証する形で浄水を保全し、守るための統合的な手法を取り入れている。湿地帯の保全、農業灌漑使用の管理、水の需要量の削減、水のリサイクル利用が必要になるだろう。ここに記した危機は、水を企業利益のための商品としてではなく、公共財として扱う21世紀型の水管理政策の創造を呼びかける目覚まし時計である。

【クレジット】

Truth-out; op-ed, “Contaminated Water Requires a National Public Health Mobilization,” by Margaret Flowers and Jill Stein, posted on February 11, 2016 at;
Copyright, Truthout. May not be reprinted without permission. (翻訳・掲載許可申請中)

【筆者】
ジル・スタイン医学士は、マサチューセッツ州の内科医、緑の党の大統領候補指名を申請中。2012年の大統領選挙で、緑の党の候補指名者。国際的に著名な公衆衛生活動家であり、州の緑の党の前共同議長。
マーガレット・フラワーズ医学士は、メリーランド州の小児科医、緑の党の米国議会上院議員候補指名を申請中。大衆抵抗運動(PopularResistance.org)の共同代表、全米保健プログラムを求める医師団(Physicians for a National Health Program)諮問委員会の委員、「メリーランド州の医療は人権」(Maryland Health Care Is a Human Right)運動の指導評議会の評議員。

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2016年2月8日月曜日

英紙ガーディアン【海外ニュース】ニューヨーク州のインディアン・ポイントで地下水に☢#トリチウム☢漏れ



ニューヨーク、市街に近い地下水の放射能漏れを調査
マンハッタン北方40マイルに立地する核発電所で「警戒すべきレベルの放射能」が検出され、アンドリュー・クオモ州知事が審査を命令。


  ニューヨーク州ブキャナン、インディアン・ポイント・エネルギー・センター。
  Photograph: Ricky Flores/AP

ニューヨーク駐在、サム・シールマンSam Thielmanアラン・ユハスAlan Yuhas
201626日(土)

ニューヨーク市の北に位置する核発電所で放射性物質が地下水に漏れ出て、アンドリュー・クオモ州知事が土曜日、州による調査を命じ、糾弾する事態にいたった。

クオモ知事は、マンハッタンの北方約40マイル[約64キロ]、ブキャナンのインディアン・ポイント・エネルギー・センターに設置された観測井戸3か所で検出された「警戒すべきレベルの放射能」に関して、調査を命令した。

クオモ知事は、「われわれの最大の関心事は施設の近くに居住する州民の健康と安全であり、地下水への漏れが脅威にならないようにすることであります」と健康・環境関連の当局者に宛てた調査命令書簡に記した。

一本の井戸では、放射能レベルがリッターあたり12,300ピコキューリーから8,000,000ピコキューリーへと65,000%近く上昇した。施設の所有企業、エンタージー社(Entergy)は、汚染されたのは地下水だけであり、飲用水ではないと強調しているものの、環境保護局が定める飲用水中のトリチウム最高限度汚染レベルは、リッターあたり20,000ピコキューリーである。
[訳注]1Bqは単位時間あたり壊変する原子数で定義され、27.0×1012Ci27pCi)に等しい。http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=18-04-02-01

知事公務室は、汚染は敷地外に移動していないと述べた。クオモ知事はエンタージー社に対し、インディアン・ポイントを閉鎖し、その他、さらに州北方にある同社施設の操業を継続するように勧告した。

知事は健康・環境関連の当局者らに、「放出の拡大範囲、予想される期間、原因、ならびに環境と公衆の健康に対して予想される影響を特定」するように指示した。

エンタージー社は土曜日の午後遅くなってステートメントを発表し、「現場の地中で上昇したトリチウム濃度は弊社の基準に合致していないものの、公衆の健康または安全におよぶ影響はございません。放出量は連邦の許容限度より何千倍も下回っております。トリチウムは現場または敷地外の飲用水源になんらの影響も与えておりません」と述べた。

同施設はニューヨーク市の電力需要の約30%をまかなっている。インディアン・ポイントは12月に緊急停止を3度起こし、知事公務室が同所の操業と安全基準に対する審問を発令し、その後にそれを延長する事態にいたっていた。

土曜日の漏れはこれまでで最も深刻なものであったようだが、この施設は近年、何度もトリチウム漏れを起こしている。公益事業委員会のオードリー・ザイベルマン(Audrey Zibelman)委員長は、既存の審問の結果を出す期日である大統領誕生日の215日を迎えようとしている。

クオモ知事は声明を出し、「このインディアン・ポイントの最近の失策は受け容れがたい」と述べた。知事は、「これは、インディアン・ポイントにおける放射能汚染水漏れの最初の例ではない」と明言し、「この失策は、インディアン・ポイントが公衆の健康と環境を守る形で操業をつづけることができないと、さらにまた実証している」と付け加えた。

トリチウムは放射性の水素同位体であり、皮膚を透過しないものの、癌を含め、疾病の原因になり、健康リスクをもたらすと考えられている。

知事公務室は、漏れの開始時と期間に関して見解を求める即座の対応を取ってはいなかった。




【クレジット】

The Guardian, “New York investigates radioactive leak in groundwater near city,” by Sam Thielman and Alan Yuhas in New York, posted on Saturday 6 February 2016 23.24 GMT at;

【地図】




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20131124日日曜日

2016年2月5日金曜日

国立環境研究所【資料】潮間帯生物の調査結果~福島第一原発近傍、特に南側の地点で種類数と棲息量が減少~






201624
~福島第一原発近傍、特に南側の地点で種類数と棲息量が減少~
Scientific Reports 掲載論文)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、福島県政記者クラブ同時配付)


国立環境研究所は、放射線医学総合研究所と福島県の協力のもと、20111214日に東京電力福島第一原子力発電所(1F)の半径20km圏内(警戒区域;当時)の16地点で潮間帯生物に関する予備調査を行い、それ以降も千葉県から岩手県に至る沿岸各地の潮間帯で調査を行ってきています。

2011年~2013年までの調査の結果、1Fに近づくにつれて潮間帯に棲息する無脊椎動物の種類数が統計学的に有意に減少し(P<0.001)、特に1F南側の地点(大熊町と富岡町)で無脊椎動物の種類数とともに棲息量も統計学的に有意に少ない(P<0.05ことが明らかとなりました。また、大熊町と富岡町における無脊椎動物の棲息量は1995年の同種の調査結果と比較しても少ないことがわかりました。すなわち、震災・原発事故の後、1F近傍、特に南側で潮間帯生物の棲息量が減少したとみられます。大津波を受けた他地点との比較から、1F近傍における潮間帯生物の減少が津波のみで引き起こされたとは考えにくく、原発事故による可能性がありますが、今後、詳細な原因究明が必要です。

この研究成果をまとめた論文が、201624日(日本時間19時)に英国科学誌(オープンアクセスジャーナル)「Scientific Reports」に掲載されました。

図1 潮間帯における無脊椎動物の種類数とイボニシ (Thais clavigera) 及びチヂミボラ (Nucella freycineti) の棲息密度(採集個体数/分)(2012年)

紫色の星印と点線による円は、それぞれ、福島第一原発(1F)とその半径20km圏内を示します。また、図中の赤線と赤点は、それぞれ、1Fの半径20km圏内とそこに位置する調査地点を示します。 * 図中の日本地図は、以下のウェブサイトの日本地図を著者らが改変したものです。: http://www.freemap.jp/item/japan/japan1.html




Article | OPEN
Scientific Reports 6, Article number: 20416 (2016)
doi:10.1038/srep20416
受付:2015717日 受理・公開:201614

概要

われわれは2011年東日本大震災と津波にともなった福島第一原子力発電所の過酷事故による生態学的影響の調査を2011年、2012年、2013年に東日本各地の潮間帯で実施した。潮間帯生息種の数が、原子力発電所からの距離が縮まるに連れて減少し、2012年には、原発に近い(約30 km)広野町から双葉町にかけての海岸でイボニシ(Thais clavigera)試料がまったく採取されなかった。他の多くの津波襲来地におけるカワニシ試料の採取数を考えると、2012年における原発近くのカワニシの不在の原因が2011年の核事故である可能性が示唆される。2013年の定量調査の結果、原発近く、または原発の南の数キロ以内の地点における潮間帯の生息種類数と個体数の密度は、とりわけ節足動物門の場合、他の地点および1995年時点より大幅に低かった。これらの知見をまだ明白に說明することはできないものの、核事故以来、原発周辺の間潮帯生物相に影響がおよんだことは明白である。