2015年11月28日土曜日

核工学インターナショナル誌【現状報告】問題が山積するフクシマ廃炉現場の水処理

NUCLEARENGINEERING INTERNAIONAL 核工学インターナショナル

問題が山積するフクシマ廃炉現場の水処理

20151126

東京電力株式会社は、福島第一核発電所の放射能で汚染された地下水がおそらく太平洋に漏出していると認めた。原子力規制庁(NRA)の数回にわたる調査と知見が漏出を確認しているにもかかわらず、東京電力が施設からの汚染水の海洋到達を認めたのは、今回が初めてである。

東京電力の小野正幸本部長は、日本の公共テレビ、NHKが放送した記者会見の発言で、「弊社はいま、汚染された水が海に流出していると考えております。たくさんの関係各位、とりわけ福島の皆さまには、多大なご心配をおかけして、深くお詫びを申しあげます」と述べた。

11月の早い時期にNRAの専門家らが施設近傍の沿岸海域と掘削井で採取した試料水に高レベルのセシウムを検出したことで、NRAが告知した懸念は、東京電力が認めたことで確定されることになった。NRAは東京電力に漏出の可能性の調査を指示していたが、東京電力は高レベルのセシウムと施設からの漏出を関連づける証拠が不足していると反論していた。

東京電力は海に流出する前の地下水路に反応炉から汚染水が浸出していると認識していたものの、海水中の放射能レベルに重大な上昇が認められないことを根拠に、試料水検査の結果、漏出の影響は反応炉の周囲に築造されているシルトフェンス[汚濁防止壁]によって抑制されていることがわかると述べていた。

しかしながら、東京電力は、4月に120トンほどの放射能汚染水は貯蔵タンクから周辺の土地に漏れでたかもしれず、今月初めには、地下水試料を検査した結果、セシウム134のレベルが数日間で110倍以上に上昇していることがわかったと認めていた。ロイター通信の報道によれば、東京電力は地下水の海洋漏出を防止するために、海と核施設を分離する護岸壁の一部にケイ酸ナトリウムという化学物質を注入しており、それによって護岸壁の大部分が化学物質で固まると期待している。

その他の件でも、東京電力は施設内の放射能を封じこめるために奮闘している。作業員らは1124日、3号炉建屋内から1週間内に2度目の蒸気が出ていると報告した。東京電力は、当初に雨水が上記の原因であるかもしれないとほのめかしていたものの、目下、原因を調査している。

ロイターによれば、東京電力広報担当、吉田まゆみ氏は、「弊社は、雨水が原子炉建屋内に進入し、一次格納容器のうえに落ちて、それが熱いものですから、蒸発し、蒸気になった可能性があると考えております」と述べた。

3号炉から立ち昇る蒸気について、施設から汚染された残骸を除去していた修復作業員らが気づいていた。東京電力の広報担当者はデイリー・テレグラフ紙の取材に、「3号炉[建屋]内部および周辺の瓦礫を取り除く作業をすべて中断しました。弊社は圧力室周辺の放射能レベルに変化がないことを確認しており、反応炉が臨界に達していないと結論づけることができました」と答えた。

このできごとは、溶融燃料を抱える反応炉の冷却材として使う水の排出方法など、フクシマ施設解体作業にまつわる懸念事項と課題を浮き彫りにしている。東京電力は2011年の事故以来、膨大な量の水を反応炉に注ぎこんでおり、放射性成分を含んだ水の排出方法は重大な問題である。

【クレジット】

NUCLEAR ENGINEERING INTERNAIONAL, “More problems for Fukushima,”

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