2015年4月4日土曜日

カナダの話題「絶滅危惧種のイルカ、原油積出港プロジェクトを葬る」

絶滅危惧種のイルカ、原油積出港プロジェクトを葬る
メリッサ・クローニンMelissa Cronin 201542
絶滅危惧種のイルカ、ベルーガの個体群が環境災害の発生を食い止めた。
トランスカナダ社は41日、95億ドルをかけるエナージー・イースト・パイプライン・プロジェクトの一環、ケベックのスーパータンカー原油輸出ターミナル開発計画の撤回を発表したとラ・プレス紙が伝えた(ロイター配信)。
「これは、わたしたちのセント・ローレンス川に生息するベルーガの保護と存続にとって、すばらしい勝利です」と、カナダの政治家でジャーナリスト、バーナード・ドレインヴィルは記者会見で述べた。
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トランスカナダ社は昨年12月にセント・ローレンス川現地の開発の休止を公表していたが、今回、この地域におけるプロジェクト全体が破棄された。
この動きの背後にいる動物は、鮮やかに白い皮膚と球根状に丸い頭で有名な亜北極帯のクジラ目、ベルーガ・イルカである。カナダ絶滅危惧野生生物地位委員会は昨年12月、セント・ローレンス川のベルーガ生息数がほんの1000頭内外で推移していると発表し、この個体群を絶滅危惧種に指定すべきであると勧告していた。かつてこの群の個体数は10,000頭ほどだったが、歴史的には乱獲にため、現在は汚染のため、減少してきた。
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1日あたり1100万バレルの原油をケベック港経由で送り出すはずだったトランスカナダ社のプロジェクトは、油漏れ、水運の騒音、汚染のため、この脆弱な個体群を脅かすはずだった。カナダの新しい法律は、絶滅危惧生物種の命運を握る生息域を企業が破壊することを禁じており、これがトランスカナダ社に退場を余儀なくさせたのかもしれない。
だが、野生生物のための戦いは終わっていない。かつてブルームバーグが「ステロイドの要」と呼んだエナージー・イースト・パイプラインの開発は進み、その進路の動物たちを追いやっている。パイプラインはやはり1100万バレルの原油を送りだして、北米最長の経路を突っ走らせ、生物生息域を破壊し、周辺の野生生物に油漏れをお見舞いする脅威になるだろう。



メリッサ・クローニンはThe Dodo記者。
Twitter @melissa_cronin. Email: melissa@thedodo.com.

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