2014年11月10日月曜日

NHKワールド:フクシマの教訓~国際赤十字社・赤新月社連盟の視察ツアー




NUCLEAR WATCH
2014115


フクシマの教訓
世界最大の人道組織の援助担当者らが先日、フクシマを訪問しました。訪問の目的は、どのように世界の人びとが核の災害に備えるべきか、みずからの眼と耳で知見を探ることでした。NHKワールドのヒダカユウキがお伝えします。
世界17か国の国際赤十字社連盟と赤新月社の代表たちが先週、福島県の浪江町を訪問しました。
エルハジ・アマドゥ・シィ事務総長とその一行は、核災害を経験した人びとから学びたいと望んでいました。
日本赤十字社救助隊は2011311日、津波のあと、東北地方へ駆けつけました。だが、福島で核の危機が勃発するにおよび、撤退せざるをえませんでした。
赤十字社は救援活動を世界的に展開する150年の歴史を積み重ねていますが、救助隊には核事故の備えがまったくありませんでした。放射線量を計測する機器もなければ、防護装備もありませんでした。救助隊には地域と住民に背を向け去るしかありませんでした。
福島第一原子力発電所の未曾有の災害は、いくつかの重要な教訓を残しました。

エルハジ・アマドゥ・シィIFRC事務総長「教訓とは、備えること、よりよく備えることです。常に用心していること、ものごとに先手を打つこと、どのような形であれ、自己満足に陥らないことだと思います」



訪問援助担当者たちは浪江町の住民に語りかけました。住民たち全員が放射能を避けるため、故郷の町から車で2時間の街に避難していました。
参加者のひとり「自分の町を離れるのは大変でしょう。でも、ここの暮らし向きはいかがですか?」
浪江の老婦人「帰りたいだけですね」

訪問者たちは、避難を余儀なくされた人たちの世話をするための備えが必要であることを学びました。
ある避難民居住区域の世話人、コンノユタカさんは、そこに辿り着いた人びとには医療扶助が必要であると説明しました。また、将来が不確実なことから気持ちが落ち込むので、感情面での支援も必要かもしれないとも言いました。
コンノユタカ「福島の事故は、もうどこでも二度と起こってほしくないです。どうか、世界に伝え、ここで学んだことを使って、対策を見つけてください」
シクデル・モカデス・アーメドはバングラデシュから来ていましたが、その国では数年のうちに最初の原子力発電所が操業を開始する予定になっています。アーメドは、このツアーに参加して、自分の国でも危機が起こりうるので、備えがなければならないと理解できるようになったと言います。
バングラデッシュ赤新月社、シクデル・モカデス・アーメド「わたしの国は人口が過剰です。この地域の、このような状況になれば、被災する人びとは、ここのように数千人ではすまず、何百万人にもなるでしょう。だからこそ、じっさい、わたしたちの準備、わたしたちの意識向上プログラムは非常に、非常に大規模なものでなければなりません」



エルハジ・アマドゥ・シィIFRC事務総長「このような事故は起こらないと願いたいですが、起こる場合には、いの一番に現場に出動するわたしたちのボランティア、わたしたちの担当者たちは少なくとも防護されていなければならず、そうあってこそ、被災する地域の人びとをよりよく守ることができるでしょう」



連盟職員たちはフクシマで学んだことを活用して、核災害に備えるための指針を策定するといいます。1年以内に指針を完成するそうです。


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