2014年11月24日月曜日

英紙テレグラフ【コラム】「原子力は不必要かも」と英国トップクラスの核推進派がいう


The Telegraph
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「原子力は不必要かも」と英国トップクラスの核推進派がいう
Nuclear power may not be needed, says top atomic advocate
元政府主任科学者で新設原発推進論者、サー・デイヴィッド・キングは、最優先事項が再生可能エネルギーの貯蔵技術を開発することでなければならないという。ジェフリー・リーンが報告する。
スコットランドは原子力なしに温室効果ガス排出量の半減をめざす。Photo: PA

ジェフリー・リーン  Geoffrey Lean
20141121


法律家は、すでに回答を知っている場合を除いて、証人に質問すべきでないと言われている。ジャーナリストは対照的に、まったく知らない情報を聞き出したいと最善をつくす。だが、わたしは先日の夜、決まりきった回答を予測していた質問に対して、まったく予想外の回答が返ってきたことに気づいた。
それは、その名を冠したエネルギー賞を運営する慈善事業、Ashdenが開催した、元政府主任科学者、サー・デイヴェッド・キング教授のイキイキした講演会でのできごとだった。わたしがこの形容詞を談話に進呈することは滅多にないが、人口増加から水資源、都市の発達から物価といった広範な主題を次々と繰り出し、新しい情報と洞察を吐露するデイヴィッドにわたしは釘付けになった。
だが、彼は――ずっと前から、英国で指折りの一流で最も影響力のある原子力推進論者であってきたし、たとえば、原子力は国にとって「巨大なビジネス・チャンス」とまで言っていたのに――再生可能エネルギーの明るい展望について盛んに話すばかりで、原子力についてはほとんど語らなかった。
そこでわたしは立ち上がり、以前に何度も彼から聞いたように、原子力賛成の返答を予想しながら、そのことについて質問した。ところが、びっくりしたことに、彼は原子力がまったくなくても英国が「楽に」やってゆけるだろうし、ほんとうの最優先事項は、断続的なことで有名な太陽と風に頼れるように、電力を蓄える手段を開発することだと言ったのである。
「わたしたちは状況を再評価しつづけなければなりません。わたしは、わが国がなにより必要としているものは、エネルギー貯蔵能力を開発する活動の勢いであると信じています…これを技術的に達成できるなら、再生可能エネルギーとうまく付き合えない理由はありません」と彼はいった。
インドのような国では、太陽光とそれを捕捉する砂漠に富んでいるので、「じかに大規模な太陽エネルギー利用」を実行しない「理由はありません」と彼はつづけた。なんといっても、インドや中国の送電線の届いていない村では、ソーラー発電パネルとバッテリーを備えるほうが、送電網に接続するより「3倍か4倍は」安上がりなのだ。
英国や日本のような土地と太陽光の少ない国では、「核エネルギーが欲しくなくなる立場を達成すると見るのは難しかったのです」と彼はいい、その場合、オーウェン・パターソン元環境大臣が提唱した小型の「ユニット型原子炉」を好んだと付け加えた。だが、彼は後になって、この問題に立ち返り、立場をこう修正した――「コストを引き下げることができるなら、基本的にわが国は楽に将来を再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵に委ねることができるでしょう」。
ここで興味深い考えが浮かんでくる。ここ数年、大いに宣伝された――コラムニストで活動家のジョージ・モンビオト、グリーンピースのスティーヴン・ティンデール元事務局長のような――元原発反対論者たちによる、ユニット型原子炉を支持する数回の会話のことである。これは、有力な核推進論者が少なくとも部分的には別の道におもむく最初の例であるなんてことがありうるのだろうか?
遡って2005年、ジョージはデイヴィッドを「わが国独自の核のセールスマンである」と攻撃し、新規原子力発電所を売ろうとしているのは「政治的理由」があるからだとほのめかす典型的に手厳しいコラムを書いていた。けだし、このことからわかるのは、人生が予想どおりにはならないもの…
【参考のために…】

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