2014年11月24日月曜日

【ロイター】原子力安全条約~フクシマ後の核安全対策案に欧米が難癖





フクシマ後の原子力安全対策案に欧米が難癖
US, Europeans row over post-Fukushima nuclear safety step
フレドリク・ダール FREDRIK DAHL
ウィーン、20141023
201479日、津波で損壊した東京電力株式会社福島第一原子力発電所で地下凍結壁の構築作業に従事する作業員ら。CREDIT: REUTERS/KIMIMASA MAYAMA/POOL
【ロイター】米国はスイスが提案した国際的な核安全協定の改定に反対して動いており、外交筋は、スイス政府はこの修正がフクシマ型の災害を防ぐのに役立つと主張しているが、その反面、業界コストの上昇につながるという。
原発大国であるロシアとカナダも、既存原発を改善して、新世代原子炉並みの安全要求基準を達成すように諸国を強いることになる方策に反対する姿勢を見せている。
米国政府も安全性を改善したいというが、77か国締約「原子力の安全に関する条約」を改定する必要はないと見ている。米国は、スイスの発議がヨーロッパ諸国のためらいがちな後押しを受けているものの、逆効果になりかねないという。何年ものあいだ、実効性が期待できないし、全条約加盟国の批准が得られないかもしれないと同国はいう。
国務省高官は提案についてこう語った――「フェラーリのエンジンをフォルクスワーゲンに落とし込もうとしています。新車がほしいなら、ショールームへ行って」、お好きなのを買いましょう。
この外交問題は、日本で2011年はじめに起こった原子炉メルトダウン――四半世紀前のチェルノブイリ事故以来、最悪の核事故――の再来を防ぐための最善の策に関して、根深い相違があることを浮き彫りにした。
諸国はフクシマ後の世界的に安全性を強化する必要性について一致しているが、国際的な行動の必要性の程度に関しては相違がある。
ウィーンで先週、来年2月に予定されている採決のための外交会議に先立って、国を代表する専門家らの討論がおこなわれたウィーンに駐在する外交官のひとりは、スイスの提案に反対する諸国にとって「これは国家主権の問題なのです」と語った。採択には、3分の2以上の賛成が必要である。
国際原子力機関の事務局長は先月、世界の核の安全性強化において進歩が達成されていると発言した。「福島第一原発事故以来、わたしが訪問したすべての原子力発電所で安全機能の具体的な改善を目にすることができました」と、天野之弥氏は述べた。
しかし、スイス――日本の突発事故のあと、ドイツの同じく段階的な脱原発を決めた国――は、現状以上の方針が必要であるとして、途切れない改善文化と名づけたものを追求している。
原子力安全条約締約諸国は、新規原子炉に最新の安全基準を適用するだけでなく、すでに稼働している原発にも最先端化手段を講じるべきであるとスイスは主張する。
原子力安全条約交渉は、チェルノブイリでソ連の原子炉が爆発し、ヨーロッパの広大な土地に放射性塵芥をばらまいた1986年のあとにおこなわれた。この条約は、締約国が他の諸国による義務の充足方法を具体的に検証し、質問することによって、高度な安全性を醸成することをめざしている。
スイスの草案は、核施設が「事故を防止する方針をもって設計され、建造されることとする…適正な安全性の改善を確認し、講じるために、これらの方針は既存の施設にも適用される」と謳う。
米国の国務省高官は、この修正条項が「機能せず、不平を招き」、原子力安全会議を「基本的に紛糾させる」と警告した。「われわれは、実質的な問題に取り組むのではなく、予測しうる将来にわたって、この紛糾に拘泥することになるでしょう」と高官は付言した。
(編集:ラリー・キング Larry King
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