2014年8月5日火曜日

【論文要約】南相馬市の新田川河口でプルトニウム採取



フクシマのプルトニウムはチェルノブイリより遠くに飛んでいた
プルトニウムで最大に汚染されている試料が福島第一原発から最も遠い採取地で見つかって「仰天」し、陸から太平洋への流入を懸念している。
201484日 ENENews 
『環境科学・技術』(アメリカ化学協会)2014711
Environmental Science & Technology (American Chemical Society)
【論文要約】沿海域河川に拡散したプルトニウム同位体の痕跡に見る福島原発事故に関する新規な知見
福島沿海域の河川から太平洋に流れこむ恐れのある堆積物中のプルトニウムを調査する
  • Ÿわれわれの研究結果は、飯舘村および南相馬市の20キロ圏立入禁止地帯の外側で採取した路傍塵芥試料に見つかったプルトニウム同位体組成と似通った組成が、乾燥させていない川床の堆積物のなかでも検出しうることを明らかにした。このことは、福島第1原発に由来するプルトニウムが破損した原発から比較的遠くまで運ばれ、すでに沿海域の河川に到達して、それ故、海中に流れこむプルトニウムの起源になりうることを証明している。
  • 試料FNL034Bはプルトニウムおよび放射性セシウムの両方で最大に汚染されてもいるが、その原子組成比率はかなり驚くべきものである。この試料は新田川の河口域で採取されたが、そこは放射性プルーム主要部が流れた地域を外れており…プルトニウム同位元素組成比率の様相とこの地域一帯における分布をさらによく把握するためにさらなる分析を実施するべきである。

  • フクシマのプルトニウム飛散距離がチェルノブイリのそれより長いことは、主要な事故条件の違いで説明できるかもしれない。チェルノブイリの場合、黒鉛火災であったのでプルトニウム含有粒子が大きく、それ故、原発から短距離の地点に沈着したことの説明がつきそうである。

  • 分析を実施した材料に含まれる福島第1原発由来のプルトニウムの割合は、試料FNS140およびFOL250の場合、1%以下であり、試料FNL034Bでは60%以下であった。試料FNL034Bの採取地は福島第1原発から最も遠かった(~45キロ)ので、このこともまた驚くに値する。
  • 今後の研究は、地域一帯におけるプルトニウムの空間分布、福島第1原発における20113月に起こった事象(暴走、放射性核種の放出など)の経過およびプルトニウムの環境中拡散に対するその影響をよりよく究明するために、立ち入り禁止区域の北西方向に位置する地域の土壌試料を大量に採取して、プルトニウム同位体および元素比率値を分析することに集中すべきである。さらにまた、本研究が河川によるプルトニウムの海中流出の可能性を示したことから、この地域に流れる沿海域河川で採取する大量の河川堆積物試料に対して同様な分析を実施すべきである。われわれの研究結果は、フクシマ事故由来のプルトニウムのなかでプルトニウム239に対してプルトニウム241の原子比率が高いことを示しており、とりわけこのことが、福島県から太平洋に流れこむ陸地起源物質の適切な追跡子になりうるかもしれない。

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