2013年10月22日火曜日

【海外論調】RT:ロバート・ジェイコブズ「フクシマは東京オリンピックを開催不能にしかねない」






「フクシマは東京オリンピックを開催不能にしかねない」

2013108

2013823日に日本の原子力規制庁が撮影した、この資料画像は、放射線防護服を着用した原子力規制当局者らを含む原子力規制関係者らが、福島県大熊町、東京電力株式会社フクシマ第1原子力発電所の汚染水タンクを実況見分している様子を示す。(AFP配信画像)

核技術史家、ロバート・ジェイコブズ准教授は、フクシマの放射能漏れは2020年までに抑えこむことができると信じる理由はなく、東京オリンピックは開催不可能になりかねないとRTに語った。
先の8月、東京電力株式会社ははじめて、損壊した原発の放射能漏れを封じこめるという、ますます苦しくなる戦いに国際的な支援を求めた*。核技術の社会的・文化的側面に関する歴史学者、広島市立大学・広島平和研究所のロバート・A・ジェイコブズRobert A. Jacobs)准教授は、このことは問題が破滅的に巨大であることを意味していると信じている。
RT原発の放射能漏れの規模について、このSOSはどんなことを示していますか?
ロバート・ジェイコブズ:
要点として、漏れがとても深刻で、大規模なため、日本政府と日本の核産業が対処策について進退窮まっていることを示しています。日本に50基以上の原発があることを考えると、日本に専門技能と経験がたっぷりあることになります。漏れがよほど深刻で、日本の核産業と政府が対処するのに途方に暮れているとなると、その漏れが破滅的に巨大であることになります。
RT日本国総理大臣の国民向け呼びかけを引用しますと「みなさんの知識と専門技能が必要です」となっています――この状況で、どの国が最も役に立つと思われますか?
RJ最も役に立つ国ぐには、明らかに最大数・最古の原発を保有する諸国であり、それらは、アメリカとロシア、それに英国やむしろフランスということになるでしょう。これら諸国は、世界最大数の原発と最大級の経験を保有する国ぐにであり、最大の専門技術と経験の両方を有しています。しかし、フクシマの問題を解決する方法はだれにもわかっていないので、これに対する解決策はだれにもないでしょう。フクシマの問題は前例のないものであり、外部の専門技能を導入したとしても、できることは問題解決を試みてみることだけです。他の国ぐにから来てもらっても、原子炉を安定化したり、いやむしろ汚染を封じこめたり、漏れを抑えこんだりする解決法はありません。まさに他の諸国が参入し、経験を持ち込むことになれば、これまでの2年半、東京電力が見せてきたものよりも高度な専門知識を呼びこむことになりますが、彼ら専門家らでさえ、フクシマで数十年にわたり向かい合うことになる巨大な問題に対して、どのように解決するのか、途方に暮れることになるでしょう。
RTこのような問題を一掃したロシアの経験についてはいかがでしょうか?
RJロシアの経験は学ばれるべきですが、多くの人たちが知っているとわたしは信じるように、チェルノブイリの核燃料はまだ溶けたままで、いまだに封じ込めが必要であり、事故からずいぶんたった今、チェルノブイリで新たな封鎖建屋を建造しています。ロシアがチェルノブイリに対処するにあたって示した専門家としての判断の一部は、広大な地域を避難区域に指定し、人びとを汚染地帯から遠くへ移動させたことです。これは、日本では実施されていません。だが、それでは放射能漏れの解決になりませんし、汚染問題の解決になりません。
 RT原発の状況を統御下に置くためには、なにが必要でしょうか?
RJだれにもわかりません。これの恐ろしい部分は、これほどの大規模な核惨事の状況が未曾有のことなので、解決策がないという点です。たったいま、フクシマ原発にとてもたくさんの問題があります。地下水もそこを流れていますし、毎日、溶けた炉心を冷却するために注水していますし、地下水面が途方もなく高いので、水位が飽和点まで上昇するのを防ぐために、高レベル放射能に汚染された水を貯蔵するタンクが1000基以上もあります。1000基あるのに加えて、何千トンもの水を貯めこむため、数日ごとにさらに多くのタンクを造っています――これがすべて水で飽和した地面の上のできごとなのです。これらのタンクすべてを漏らさずに、どうやって水を定位置に保っているか――これはだれにもわからないことです。原子炉の底面にある核燃料をどうやって見つけ、封じこめて、放射能が環境中に浸出するのを防ぐのか――これは、たとえ世界中の専門技術を結集しても数十年間かはかかる仕事です。 
RTこのすべてが2020年東京オリンピックにどのように影響するでしょうか?
RJ東京オリンピックにとって、非常に厄介なことになります。たったいまでも、北日本の全域で、子どもたちの尿からセシウムが検出されており、これは被ばくと汚染が進行中であること、これらの地域の子どもたちにとって事態が収束していないこと、いまだに放射能に被曝していることを示しています。ですから、2年半たっても、いまだに汚染されています。2020年までに汚染が封じこめられると信じる理由はありません。それに加え、潜在的にもっと破滅的な事態がフクシマで勃発する可能性があります。新たな大地震が発生すれば、大型台風が襲来すれば、フクシマにさらなる破壊が簡単におよびかねません。周知のように、4号炉の使用済み核燃料プールに膨大な量の使用済み核燃料棒が保管されており、しかもその建屋が損傷し、傾いているのです。この使用済み核燃料プールは、何階か上にあり、この建屋が崩壊するようなことになると、使用済み核燃料棒は地上いたるところにばらまかれ、2020年東京オリンピックは開催不可能になりますし、あらゆる種類の健康問題が北日本全域と東京そのものを脅かすことになるでしょう。東京オリンピックが影響を受けないことが願わしいのでしょうが、そのときでも、疑いなく放射能漏れがつづいているでしょう。
RTフクシマの悲劇は壮大な反原発運動を巻き起こしました――世界には、このエネルギー源を永久に放棄する用意ができているでしょうか?
RJ世界の人びとの福利のため、生態系の福利のために、そうでなければなりません。原子力の恩恵は1または2世代におよびますが、その2世代から引き継ぐ使用済み燃料を管理する重荷は千世代にわたって受け継がれます。わたしたち1ないし2世代がエネルギーを利用するために、千世代にわたる人びとにわたしたちのゴミを管理してくれと頼むのは、途方もない重荷です。毒物を創りだすにしても、これは世界で最も危険な毒であり、そのなかには、2万年、あるいは10万年先まで危険な毒性を保つものがあります。自然界に存在しないプルトニウムが製造されましたが、一度、これらの毒物が製造され、一度、生態系に入り込むと、数万年、または数十万年にわたり、人びとが対処しなければならなくなります。安直な電力を得る目的のため、これらの毒物をもっと創りつづけるのは、わたしたちの未来に重荷を押し付けることであり、これは耐えがたいことなので、維持不可能です。世界は原子力と共存しつづけられません。前方の道は、限りある燃料を用いたり、汚染をもたらす燃料を使ったりして進むべきものではなく、人間の文明を維持しながら数百年、あるいはおそらく数千年、進むべき前方の道は、わたしたちの生態系を汚染したりしない再生可能で維持可能なエネルギーを用いて行くべくものです。フクシマで起こっていることは、まだ終わっていない破滅的な問題であり、短時間では終わらず、海洋と生態系に放射能をばらまきつづけている限り、日本の人びと、そして世界中の人びとにとって、喫緊の脅威でありつづけるのです。

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