2013年9月21日土曜日

【海外論調】オーストラリア放送公社:フクシマ放射能汚染水漏れに見る原発危機対策の疑問点




Australian Broadcasting Corporation オーストラリア放送公社



フクシマ放射能汚染水漏れに見る原発危機対策の疑問点




オーストラリア放送公社 Australian Broadcasting Corporation
放映日:2013919
取材・報告:マーク・ウィラリー Reporter: Mark Willacy
日本の総理大臣は、放射能汚染水の海中漏出と日本政府による危機対応が懸念されるさなか、事故を起こした福島原発を訪問した。
【テキスト】
キャスター、リー・セイルス
安倍晋三首相は、損傷した福島原発を訪れました。
この訪問は、汚染水の海中漏出に対する懸念が高まっているさなか、東京電力に顧問が問題が統御されていないと認めたあとになされたものです。
さらに悪いことに、敷地いっぱいに立ち並ぶ何百もの貯水タンクのひとつから深刻な量の汚染水が漏れていました。
こういうことから、東京電力と日本政府が危機に対処する能力を疑問視する声が上がっています。
ABCの東京特派員、マーク・ウィラシーが報告します。
マーク・ウィラシー記者:
未明230分です。鈴木フミオさんが彼の船、エビス丸を出す準備をしています。エビスは、日本の伝承で漁師の神さまですが、このポスト・フクシマ世界では、鈴木さんの守り神は彼を見捨て、東京電力の悪魔と交代したようです。

フクシマ漁民、鈴木フミオさん(翻訳音声)
東電ってのは、結局、最初からバカにして、原発が爆発したときからウソついてきたんでないの。東電は問題ないっていうけんど、それが問題あるんだな。東電にしても、政府にしても、まるっきり信用してねえから。
マーク・ウィラシー:
毎日、少なくとも300トンの汚染された水が福島原発から海に流出したことから、これらの海域での漁獲は一時禁止されていました。
エビス丸は今日、出漁を許された2隻のうちの1隻で、漁獲したものはどんなものでも。放射能汚染検査に送られます。

さて、わたしたちは2時間ほど航海して、いま外海に出ましたが、ほんの30km向こうに福島原発の水漏れしている残骸があるにもかかわらず、ご覧のように、まさしく夜が明けようとしており、ほんとうに美しい眺めです。漁師たちは幾世代にもわたって漁場に通ってきましたが、もはや販売に値するような魚を水揚げすることはできなくなりましたので、正業が終わってしまったことになります。
網入れが終わり、鏡のような太平洋に日が昇り、いま鈴木フミオさんにできることは、待ち、あれこれ思いを巡らすことだけです。
漁師たちにとって問題は、東京電力に汚染が海に到達するのを食い止める能力がないように見受けられることであり、またこれだけが危機なのではありません。敷地内に、約1,000基の急造タンクがあり、その一部には、メルトダウンした原子炉の冷却に使われた高レベル放射能汚染水が貯蔵されています。すでに1基が重大な漏れを起こし、2年半前のメルトダウン以来で最も深刻な事故になりました。

水貯蔵専門家、吉村和成さん(翻訳音声)
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万トンの汚染水がタンクのなかにあります。東京電力は大急ぎで鋼鉄製のタンクを建造しましたが、塩分とそれにすべて放射能がありますから、タンクはまったく急速に腐食します。ラバー製のシールもまた、放射線に弱く、速やかに劣化します。
マーク・ウィラシー:
漏出が起こったとき、いつも2人だけの検査員で900基のタンクを点検していましたので、この高レベル放射能の漏洩(ろうえい)1月のあいだ気づかれませんでした。

このビデオで、日本の原子力規制当局の査察官が東京電力職員に、会社はタンク点検と放射線測定値の記録を保存しているかと質問しました。「いいえ」と、東電職員は応えました。
吉村和成さん(翻訳音声)
このようなタンクの場合、ウォーターゲイジ(水位計)をつけるのが当たり前なのですがね。だから、東電がゲイジをつけて、なかにどれだけ水が入っているのか、それに漏れがあれば、簡単にわかるようにしておかなかったのはどうしてなのか、謎ですよ。馬鹿げてます。
マーク・ウィラシー:
丸井敦尚(まるいあつなお)さんは、日本の地下水研究では第一人者のひとりであり、貯蔵量が増える一方のフクシマ放射能汚染水を管理する方策を見つけるために、東京電力と政府が設置した識者委員会の委員です。丸井さんは、そもそもこの海岸域に原発を設置したことが災害を招きましたといいます。

地下水専門家、丸井敦尚さん(翻訳音声)
川が流れていたところに、タービン建屋とか原子炉建屋が建っているんですね。ですから、そこを地下水が非常に速く流れて、汚染を拡大しています。東電は、こうなるとわかっているべきでした。
マーク・ウィラシー:
しかし、最悪の事態はこれからであると警告されています。原発の地下深くに汚染された水の巨大な地下プールがあり、それがゆっくりと海に向かって動いていると信じられているからです。
そしていま、日本の原子力規制当局の委員長は、余裕が急速になくなりつつあるので、処理済みの水を太平洋に投棄しなければならないかもしれないと警告しています。
福島原発沖合の海に戻ると、鈴木フミオさんが網を引き揚げています。この海域は2つの潮流が入り混じっており、海洋生物が豊富です。

ほどなく、甲板の上に海の幸、イカ、イワシ、ヒラメが水揚げされます。陸上で待つ学者たちが種ごとに汚染を分析するのが容易になるように、鈴木さんと彼のお父さんが寄りわけはじめます。
さて、このような漁獲はかつて、鈴木さんにとって600ドルほどの稼ぎになっていましたが、もちろんこの魚は市場行きではありません。わたしたちはまっすぐ港に向かいます。港で魚が分別され、トラックに積まれて、研究室に直送され、そこでもちろん福島原発由来の放射能汚染を検査されます。
フクシマの惨事から2年半たちましたが、鈴木フミオさんにとって、視界に終わりは見えません。また、東京電量が量を増す放射能汚染水の一部を太平洋に投棄したいという望みを実行するなら、状況はさらに悪くなりうるでしょう。
鈴木フミオさん(翻訳音声)
断固として投棄には反対だ。海にこれ以上の放射能汚染水を放出したら、福島沖の海はおしまいだ。
リー・セイルス
マーク・ウィラシ―がお伝えしました。

【F.Y.I: ご参考までに…】
GLOBAL WATER JAPAN





グローバルウォータージャパン代表吉村和就は、世界の水と環境問題についての対応と解決方法を提言していきます。
20130921日  サンケイBIZ
サンケイBIZに吉村代表の記事が掲載されました。
汚染水対策、政府の対応の間違い4ページに分割掲載されています。


THE WALL STREET JOURNAL
ウォール・ストリート・ジャーナル
2013822
フレッド・ドヴォラク PHRED DVORAK
【東京】メルトダウンから2年半近く経った今、東京電力福島第1原子力発電所では、これまでにない規模の汚染水を封じ込めるため必死の努力が続いている。だが、専門家の間では、東電の対応が近視眼的だったのではないかとの疑念が強まっている。
……
5月に設置された放射線汚染水の処理について検討する政府の専門家パネルのメンバーで、産業技術総合研究所で地下水研究グループ長を務める丸井敦尚氏は、「将来はもっと濃い、もっと汚い水が海へ出る可能性がある」とした上で、「最悪のケースを考えて行動することが大事だ」と述べた。
この問題は、東電と同社を監視する政府の担当部局が、早期に検討しておくべき問題を放置してきたためだと指摘する専門家は多い。福島第1原発は、40年前に川の流れを変えて建設された。このため敷地の下を大量の地下水が流れていることは明らかだったはずで、海側にどのような遮水壁を建設しても、すぐにあふれ出すだろう、と丸井氏は言う。
……







外洋に1日600億ベクレル放出 福島原発、気象研の研究官報告
 【ウィーン共同】東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、気象庁気象研究所の青山道夫主任研究官は18日、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されていると報告した。
 セシウム137の半減期は約30年、ストロンチウム90は約29年。原子炉建屋地下からいったん港湾内に染み出た後、炉心溶融を免れた5、6号機の取水口から取り込まれ、北側放水口から外洋に放出されている。東電は「法定基準以下の濃度と確認して放水しており問題ない」としている。
2013918日【共同通信】


東京電力福島第1原発の地上タンクから高濃度汚染水約300トンが漏れ出し、急ごしらえタンクの限界を露呈した。当初から耐久性が懸念されていたにもかかわらず対応は後手に回り、汚染水問題の危機は深まるばかりだ。 24日には地盤沈下の影響で解体・再利用し、接ぎ目が劣化した可能性なども浮上。 政府はタンクの強度向上も検討し始めたが、汚染は既に外洋や地下水に広がりつつある。
……
政府の汚染水処理対策委員会は23日、緊急対策の検討に入った。耐久性の高い溶接型タンクへの交換も取りざたされるが、汚染水の移送先確保が難問だ。「タンク増設は時間との勝負。(今後も)溶接式でないことはあるかも」(相沢・東電副社長)と当面、ボルト型を使い続けるしかない状況だ。
2013826日【共同通信】

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