2013年7月26日金曜日

NHKラジオ「夏休み子ども科学電話相談」で木村真三先生が子どもたちの質問に…

毎年恒例のNHK第一ラジオ
 夏休み 子ども 科学電話相談







7月25日、26日限定、木村真三先生が放射線衛生学を担当!

木村 真三(きむら しんぞう)
 獨協医科大学准教授
 放射線衛生学

子どもたちの質問にどのようにお答えしたのでしょうか?
あいにく聴いていなかったですが、次のビデオにヒントがありそうです。

【テレビユー福島】 via YouTube
聞き手:テレビユー福島報道部長、大森真氏
答え手:獨協大学准教授、木村真三氏


18301940 敬称略]
大森いま、マスクは必要なのでしょうか?
木村:ええ、これもよく聞かれるのですが、これは風の強い日、冬場…それはやってくださいと…あくまでも自己防衛です。ひとつには単なる公衆衛生学的な考え方で、インフルエンザが蔓延しているときの空気感染、飛沫感染というものを防ぐことができますよということも含めて、安全側に考えていきましょうね、と。じゃあ、ほかはどうなのといわれたときには、夏は避けてください、と。夏場にマスクをしてください…息苦しさでやられてしまいます…熱中症になるでしょ、と…熱中症の死亡率を考えたばあい、そちらのリスクのほうがはるかに高いのです。だからこそ、あえての被曝も仕方なし、と…それはどちらが命につながっていくかということのリスクを考えていくことが大切じゃないのか、と考えております。

【参考文献】
内閣官房
平成23年11月

1.   趣旨
 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故による放射性物質汚染対策に おいて、低線量被ばくのリスク管理を今後とも適切に行っていくためには、国際機関等により示されている最新の科学的知見やこれまでの対策に係る評価を十分踏まえるとともに、現場で被災者が直面する課題を明確にして、対応することが必要である。
 このため、国内外の科学的知見や評価の整理、現場の課題の抽出を行う検討の場として、放射性物質汚染対策顧問会議(以下「顧問会議」という。)の下で、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(以下「WG」という。)を開催する。
【「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」報告書】
● 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書
● 【別添1】発表概要
● 【別添2】海外の専門家から寄せられたメッセージ

獨協医科大学国際疫学研究室福島分室長・准教授
 木村真三
はじめに、文献に頼る報告では真実は見えてきません。真実は自分自身が調査を行ってこそ見えてくるもので,論文を頼りに机上で考えても新たな発見は望めません。
私見ですが放射線を専門とする研究者だけではなく、血液内科学、神経内科学、免疫学、薬理学、衛生学、医学統計学など医学系研究者を交えて議論すべきだと思います。
その理由は、放射線を専門とする研究者では、先入観により見逃してしまうことがあるからです。
私たちはワーキンググループとして、本年6月、北海道大学医学研究科環境医学分野 藤田博美(ひろよし)教授が事務局をつとめ、東京大学、京都大学などをはじめとする全国の専門家20名によるチェルノブイリ内部被ばく検討会を行いました。来年度も開催予定です。

① 先生のご意見の骨子を箇条書きにしてください(5 行以内)。
w   外部被ばくだけで線量を決定することは危険である。とくに原発事故の場合、内部被ばくの線量を考慮すべきである。
w   内部被ばくの長期的影響は結論が出ていないが、現時点では 100mSv 以下の線量は LNT仮説を支持する。
w   避難および一時的な避難の基準値は年間 5mSv にすべきである。妊婦や乳幼児のいる家庭については、在住の行政区域内で可能な限り線量の低い場所に一時的に避難する権利を与えるべき。

② 先生のご意見の根拠となった文献を10編列挙して下さい(10編以内)。
基本的には、調査に基づいた意見であるため参考文献はない。
しかし、概念的には Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation: BEIR VII  Phase 2 を参考にしている。
避難および一時的な避難の基準値は年間 5mSv の根拠は、今回、森ゆうこ文部科学副大臣がウクライナ訪問の際に随行したとき,チェルノブイリ立入り禁止区域管理庁長官ヴォロディミール・コローシャ氏から生涯被ばく線量を 350mSv と考えた場合、初期の被ばくを考慮に入れないという条件では、年間 5mSv が妥当との回答を得ている。

③ 国民、特に福島県民の方々がご理解頂けるように、できるだけ平易な言葉で先生のご意見を400字程度でまとめて下さい。
長期的な内部被ばくの影響については、未だ多くのことが解っていません。そのためには、できるだけ早く内部被ばくが原因で引き起こされる病気について調査を行う必要があります。
事故から 25 年たったチェルノブイリ汚染地域に暮らす人々、とくに子どもたちの疫学調査を含めた健康調査を行うことにより、健康不安に悩む被災地の方々に役立てることができます。
また、福島県では被ばくを避けるために子どもの保養や住宅の除染が行われていますが、
1.   子どもの安全確保のために給食センターに食品汚染計を導入する。また、全国に拡がる食への不安を払拭するために、全国の給食センターに食品汚染計を設置することが望ましい。
2.   広範囲に汚染された地域では、政府が発表している年間1mSv 以下にするためには、住宅の半径100m を除染せねば実現できないので、都市部では住宅地の町内会単位で除染を進めなくてはならない。現実性を持って対応することが望ましい。農村部は,田畑の除染を進めなくては生活の糧を失うことになる。
3.   一時廃棄物は、町内会や集落ごとに行い他の地域を自分たちのゴミで汚染させない。最終処分場は、チェルノブイリ同様、福島第一原発構内が良い。
4.   森の除染は、住宅地に近い場所から100m 程度ずつ伐採し、樹皮、や枝、落ち葉は濃縮して一時廃棄物とし、幹は材木として震災復興のために利用する。

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(Fukushima Women's Calender, 2014)

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■ 発行:原発いらない福島の女たち
       (カレンダーチーム)
■ 制作協力:梨の木舎

福島の原発事故は終わってはいません。
健康被害(子どもの甲状腺ガンなど)、除染、被曝労働、
廃棄物の焼却、避難の権利・・・
福島を忘れないでください。
このカレンダーで女たちを支えてください。


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 カレンダーは出来上がり次第、発送となります。
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<申込先> 原発いらない福島の女たち:070-5018-7478(黒田)
     梨の木舎:Mail nashinoki-sha@jca.apc.org
                         Fax   03-3291-8090


2013年7月24日水曜日

【#資料】公式統計に見る #人口の急減!!



!】 人口動態の推計 2004年をピークに2020年まで横ばいから微減 実態 2012年と2013年、総人口の激減!! 同グラフ画像

 
日本の人口の推移 1950年~2060年
日本の人口の推移PDF


平成22年国勢調査の実施に向けて(3)-国勢調査で分かること-
統計Today No.21からの引用]
人口のピークは200412
 最近の人口の動きを月別の「人口推計」結果からみると、2004年(平成16年)12月が我が国の人口のピークで、12784万人でした。その10か月後の2005年の国勢調査時点では、人口は7万人減少し、12777万人でした。その後は、2007年(平成19年)まで人口はわずかな増加となりましたが、2009年(平成21年)10月にはピークに比べ、約30万人減少しています。


 【平成2571日現在(概算値)】
<総人口> 1億2735万人で,前年同月に比べ減少    ▲22万人
【平成2521日現在(確定値)】
<総人口> 1億27412千人で,前年同月に比べ減少    ▲215千人
 0~14歳人口は 16505千人で,前年同月に比べ減少  ▲146千人
 1564歳人口は 79735千人で,前年同月に比べ減少  ▲1185千人
 65歳以上人口は 31172千人で,前年同月に比べ増加   1115千人
 <日本人人口>1億25854千人で,前年同月に比べ減少 ▲248千人

[引用者による整理とコメント]
200412月から200910月までの5年足らず…約30万人の人口減少
20127月から20137月現在までの1年間……約22万人の人口減少(概算値)
この意味するところは、説明するまでもないでしょう。

【参照】

2013年7月20日土曜日

【海外論調】放射性セシウムの大気中放出量、ヒロシマ4,023発分!

フクシマの放射性セシウム放出量ヒロシマ原爆4,023発分
Fukushima nuclear cesium fallout equals 4,023 Hiroshima bombs
2013525日 アレクサンダー・ヒギンズ
FUKUSHIMA
 MAY 25, 2012 BY:
 ALEXANDER HIGGINS
東京電力の最新推計によれば、フクシマの
セシウム放出量はヒロシマ原爆4,023発分CREDITS:   WIKIPEDIA COMMONS


東京電力は、水曜日(2013515日)、福島第1原発(Fukushima)から漏出したセシウムの推計量を公表したが、それはそれまで考えられていた量より24倍多く、ヒロシマ原爆(Hiroshima)の4,023発分に相当する。
東京電力株式会社は、去年の夏、福島第1原発から15,000テラベクレルの放射性セシウム(radiation)が漏出したと公表した。
1テラベクレルは、1兆ベクレルに相当する。

当時、テレグラフ(the Telegraph)はセシウム放出量が、第2次世界大戦中に投下されたヒロシマ原爆のセシウム放出量、たかだか89テラベクレルの168倍に相当すると伝えた。



大きな地図で見る
新たにセシウム放出量の推計値を計算したところ、360,000テラベクレルになった。
この数値は、20128月の24倍であり、ヒロシマ原爆4,023発分のセシウム漏出量ということになる。
この推計値はまた、チェルノブイリ(Chernobyl)から大気中に放出された放射性セシウムの推計値、85,000テラベクレルの4倍以上ということになる。
東京電力が新たに改訂したフクシマ漏出推計値は包括的なものでなく、それに核惨事が始まってからの全期間分を表したものではない。
この推計値は、2011312日から31日までの期間に収集されたデータにもとづいている。
4月中およびそれ以降の大気中・放射能放出量は、3月中の放出量の1パーセントに過ぎないと思われると、東京電力はいう。
この量は「微々たるもの」と考えられ、新しい推計値に含まれないというのだ。
太平洋に漏出した分の放射能推定値は、2011326日から930日までの期間に収集されたデータによって推計されている。
東京電力はみずからの推計値について、このデータが「限られた範囲で得た少量のデータ」を集積したものであると注釈し、さらに「推計値の有効性を検証するために、さらにデータを収集する必要があるという。
新しい推計値はまた、フクシマの原子炉地下の排水管に漏出した放射能や、東京電力が貯蔵タンクに集めてきた汚染水のなかに漏れでた放射能の量を含んでいない。
東京電力は、昨年6月、排水管に漏れでた放射能の量は、大気中放出量の最大2倍近くになると推計していた。
筆者推奨の記事:
アレクサンダー・ヒギンズ ジャージーシティ公民権監視活動家
Alexander Higgins, Jersey City Civil Rights Examiner
独立の市民ジャーナリスト、The Alexander Higgins Blogにて、公民的自由問題に関する政府監視グループとして活動、環境・平和行動を推進
Subscribe ・@kr3at ・Jersey City Civil Rights


2013年7月7日日曜日

#Japan_Focus【海外論調】アナンド・グローバー報告と恥ずかしい日本政府の反論

アジア太平洋ジャーナル:ジャパン・フォーカス
アジア太平洋…そして世界を形成する諸勢力の批判的深層分析

フクシマに関する国連特別報告者アナンド・グローバー氏:
2023610
ティエリー・リボー Thierry Ribault
フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員

527日、国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏は、201211月の福島視察に関する報告を公表した。国連人権理事会は――人権保護の――役割をまっとう、または少なくともその意志を明確にしたことになる。本稿では、手厳しく批判的なグローバー報告(ヒューマンライツ・ナウによる仮訳)の主な結論を要約する。
グローバー氏は、大惨事の規模を次のように説明する―― 
「福島第1原発の事故による放射性セシウム(137C)の放出量は、広島原爆によるそれの168倍を超えると見積もられている。東京電力によれば、放射性ヨウ素とセシウムの放出量は900ペタ(1000兆)ベクレルである…原発事故由来の放射性物質として、他にもテルル(129mTe129Te)、銀(110mAg)、ランタン(140La)、バリウム(140Ba)などがある。
報告者はまた、チェルノブイリ事故後にソ連当局が用いたような、放射線被曝の厳しい現実を隠蔽する古いやり方は、もはや許されるべきでないと強い調子で主張している。チェルノブイリ事故以降、長年が経過して、染色体の異常、子どもおよび成人の疾病率の上昇、精神異常、白血病など、放射線被曝に起因する健康障害について、ますます多くのことが知られるようになった。グローバー氏によれば、長期にわたる低線量放射線被曝と癌発症との因果関係は、もはや「有意差なし」として退けることができない。
(チェルノブイリ研究に関する論争および健康に対する放射線の効果について、詳しくは、Matthew Penney and Mark Selden, What Price the Fukushima Meltdown? Comparing Chernobyl and Fukushimaを参照のこと)
 日本の事例について、グローバー氏は、住民に対する安定ヨウ素剤の効果的な配布が欠如していたと批判する。氏はまた、原発作業員の健康保護体制についても、医療検査が(法に反して)系統的に実施されていない、実施された検査の結果の当局に対する適切な伝達がなされていないと問題にしている。決定的なこととして、福島第1原発で働く人たちの大半を占める、下請け企業の作業員らはそのような検査を受診することすら保証されていない。
(福島第一原発の作業員らが直面する問題について、詳しくは、Gabrielle Hecht, Nuclear Janitors: Contract Workers at the Fukushima Reactors and Beyondを参照のこと) 

健康に対する権利が尊重されていない
原発周辺の区域指定システムについて、グローバー氏は、年間1ミリシーベルト以上の汚染地に住民が帰還、居住し、そこで働くことは許されないとする、チェルノブイリ容認不可基準に関する1991年の決定を思い起こさせる。福島の場合、この基準は年間20ミリシーベルトのレベルに設定された。放射線測定値が20ないし50ミリシーベルトである場合、日中であれば、住民の汚染地域出入りは自由である。 
報告者は、日本の当局が(ICRP勧告にもとづいて)用いる「費用・便益分析」について、健康に対する個々人の基本的人権を尊重していないと批判する。グロ-バー氏は、「集団の利害」が個人の人権、ましてや健康に生きる権利に決して優越するべきでないと論じる。グローバー氏は、したがって、個々人が汚染地域への帰還を許される被曝限度値を引き下げることを日本政府に要請し、年間1ミリシーベルトを超える地域では、移住を余儀なくされた人びとに保証金を支払うこと、無料の予防医療を施すことを勧告する。
 グローバー氏は、放射線教育の問題について、学校用の副読本に記載されているような、年間100ミリシーベルトより低い放射線被曝は人の健康に有害でないとする主張をすべて取りやめることを日本政府に要請する。
(教室における100ミリシーベルト安全論について、詳しくは、週刊金曜日サイト記事<100Sv以下発がん証拠なし」――副読に教員ら戸惑い>を参照のこと)
除染について、報告者は、当局が2013年以降の汚染レベルを1ミリシーベルト以下に引き下げる明確なスケジュールを設定していないと遺憾の意を表明する。学校の校庭を除染するだけでは不十分であり、グローバー氏は、平均20ミリシーベルト以下である地域に存在する複数の「ホットスポット」を考慮して、もっと広範囲の除染が必要であると主張する。これらの地帯の一部で、住民たちが自宅や地域に帰還するように求められているからである。氏は最後に、適切な装備や健康への影響に関する明確な情報を与えずに、住民を除染作業に参加させる政策を批判する。
曝心地から10km、特別な看板もなく、道路端に立ち並ぶ汚染土壌の袋
2012
11月、ティエリー・リボー撮影。出所:RUE89 website
 報告者はまた、2012年末に発表された、1100億ユーロまたは1450USドルに相当する額の政府資金、すなわち国民の税金を、東電に責任がある損害の補償にあてることを批判する。
(利益を受ける企業や株主ではなく、納税者が負担する原発の財務リスクについて、詳しくは、Asia-Pacific Journal Feature, The Costs of Fukushimaを参照のこと)

日本政府にとって、WHOUNSCEARの専門家の見解のほかに「真実」はない
 グローバー氏の報告が発表されたのと同じジュネーブの会議で、日本政府は527日付け反論書(ヒューマンライツ・ナウによる仮訳)を提出し、グローバー氏の結論を否定した。日本の当局によれば、グローバー氏の報告には「科学的根拠」が完全に欠如している。日本政府が信頼する「科学的根拠」とは、世界保健機関(WHO)、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)の專門からが提示する「根拠」なのだ。多くの科学者や核問題評論家らは、これらの機関の姿勢に異を唱えているし、ほかにも、これらの組織が提唱する結論が、核産業との結びつき、そして核の安全性評価と原子力使用の推進という二股の役割を担っているため、疑問であると主張する人たちがいる。
日本政府にとって、UNSCEARが差し出す事実は好都合なものである。福島のメルトダウン事故による影響の評価の任にあたる、この国連機関は、チェルノブイリ惨事後の放射線に起因する即時の死亡は50件に満たず、甲状腺癌の関連死は15件未満であると結論づけたのと同じ組織であり、すでに福島における短期および中期の死亡を「0件」と予想している。この「予想」は20123月から唱えられているものであり、同委員会の最近の報告で確認されている。
日本政府は、よりいっそう良好な住民保護を求めるグロ-バー氏の要請は、すでに実施されている対策の範囲を超えて、該当住民を保護する必要があるとは「科学的に」まったくなにも証明されていないので、完全に的外れであり、余計なお世話であると考えている――日本政府は、適切な支援が本当に必要な人々に提供されるよう、引き続き対策を講じていく」。
グローバー氏は、日本政府が「子どもたちの健康診断を甲状腺検査に限定しないで、尿や血液の検査など、ありうる健康効果すべてを想定した検査に拡大する」ことを勧告しているが、日本政府の返答は次のようなものであるが、今になって、この文節を削除するように要請している―― 
 「介入試験は科学的および倫理的に実施されるべきである。なぜ、血液検査や尿検査が必要とされるのか? どのような類いの障害の可能性のために、そのような検査が正当化されるのだろうか? 医学的に正当化されない検診を強要することによって、地元の住民に不必要な負担をかけるべきでないので、この提案は受けいれられない」

1ミリシーベルト限度値と健康への影響に関する「予断」 
特別報告者は、日本政府が「…移転、住宅、雇用、教育、そのほか、放射線量が1ミリシーベルト/年を超える、いかなる地域においても、避難、残留、または帰還を選ぶ人びとの必要とする基本的な支援のための資金を提供する」ことを勧告している。日本政府は次のように応じている――「上記の文章は、予断にもとづいているので、削除されるべきである。われわれが既述したように、健康に影響する放射線レベルについては、国際的な論争がおこなわれており、いまだにさまざまな観点から多大な考慮を要する」。
 汚染廃棄物について、グローバー報告はこう記す――「汚染廃棄物が住宅地域や運動広場地下に保管されており、その結果、住民に健康被害をおよぼしうるのであり、住宅地域から離れた場所に一時保管施設を設置することが緊急に求められている」。
日本の当局は、この批判に応じるさい、ためらうことなく公然たる虚偽をこう述べる――「土壌、その他を保管するさい、人間の健康への影響を防止するために、放射線遮蔽などの対策が施される。したがって、『住民に健康被害をおよぼしうる』というのは、この場合にあたらない」 
日本政府は、歴史を書き換えている。この歴史改変作業にさいして、66日から8日にかけて日本を公式訪問したフランスの大統領、有力閣僚7名、その他の国会議員ら、産業界代表らが日本政府を助けている。417日にラ・アーグを出港した船舶に積載された10トンの MOXの日本到着もまた、日本政府による原子力発電所の再稼働を後押しすることだろう。
ラ・アーグで船積みされるMOX燃料のキャスク。出所:アレバ社サイト
ティエリー・リボーは、Les Sanctuaires de l’abîme – Chronique du désastre de Fukushima – published by Les Éditions de l’Encyclopédie des Nuisances, Paris, 2012Nadine Ribault(ナディーヌ・リボー)と共著。また、Catastrophy and Humanism – An overview after the march 11 disaster 明石書店、2013年刊『震災とヒューマニズム     311の破局をめぐって』をChristine Lévy(クリスティヌ・レヴィ)とともに共同編集。

本稿は、英語版を日本語訳。オリジナルは、RUE89 website(フランス語)。