2012年9月12日水曜日

【資料】福島県・子どもの甲状腺検査結果と甲状腺癌報道


福島県は911日、「県民健康管理調査」第8回検討委員会を開催しました。
ウエブで公表されている資料によれば、甲状腺の嚢胞(のうほう)や結節、なんらかの異常が見られる割合が明確に増加しているのが、気にかかります。また、子どもの甲状腺癌が1例見つかったことも公表され、広く報道されました。
平成24年度甲状腺検査(一次検査)の実施概要
1.                実施時期
H24
514日(月)から平成253月末まで
2.                検査対象市町村(※下記の実施スケジュール(案)のとおり)
原則として、平成233月時点での環境放射線量の高かった市町村順に検査を実施する。
3.                検査対象者
平成23311日(震災時)に概ね0歳から18歳までの下記市町村居住者(県外避難者も含む)。
(具体的には平成442日から平成2341日までに生まれた方)
実施計画
●市町村より最新の住所データを収集して、医科大学より順次「甲状腺検査のお知らせ」を発送する。
●対象者(保護者)に対して、検査日時、場所を予め指定して検査を実施する。なお、対象者等からの検査日時等の変更にも、柔軟に対応する。
●小中学生等は在学している学校において検査を実施する。それ以外の対象者は上記検査実施市町村内の公的施設(保健センター)等で検査を実施する。
4.                検査実施方針等
●検査未受診者に対して、最新の検査スケジュールを再送するなど可能な限りの検査受診機会を確保する。
●小中学生等の検査にあたっては、学校行事や長期休業期間、受験時期等を考慮しながら、検査を実施する。
●対象者(保護者)の利便性を可能な限り考慮した、検査会場の確保、検査時間を設定する。
●日常生活圏または高校生の通学範囲を同じくする隣接する周辺の市町村にも同時にお知らせを通知することで、対象者(保護者)の利便性を図る。
また、母都市での検査実施時期と並行して検査を実施することで、受診機会の確保を図る。
〔判定結果の説明〕
・A1、A2判定は次回(平成26年度以降)の検査まで経過観察
・B、C判定は二次検査(二次検査対象者に対しては、二次検査日時、場所を改めて通知して実施)
A2の判定内容であっても、甲状腺の状態等から二次検査を要すると判断した方については、B判定としています。
H24年度の検査結果については、検査結果が確定している824日検査分までを集計しています。
(参考)
判定結果
H23年度
H24年度
人数
割合
人数
割合
結節
5.1mm以上
184
0.48
385
1.01%)
232
0.55
385
0.92%)
5.0mm以下
201
0.53
153
0.37
嚢胞(のうほう)
20.1mm以上
1
0.0003
13,383
35.11%)
3
0.007
18,139
43.13%)
20.0mm以下
13,382
35.11
18,136
43.12
※ 結節、嚢胞両方の所見に該当しているケースも存在


下記に紹介するブログ『みんな楽しくHappyがいい』記事は、上記資料を明快に分析して、秀逸です…
さらに驚くべきニュースです…

【福島民報】
11日に福島市で開かれた県民健康管理調査検討委員会で、福島医大は子どもを対象とする甲状腺検査について、二次検査の結果、1人の甲状腺がんが確認されたと報告した。検査で甲状腺がんが見つかるのは初めて。福島医大は「放射線の影響ではない」としている。
… 中略 …
福島医大は対象者についてプライバシー保護の観点から性別や年齢、住所、被ばく線量などを公表していない。
… 中略 …
「高い外部被ばくない」福島医大鈴木教授
甲状腺検査で甲状腺がんが見つかったことについて、調査を担当する県民健康管理調査検討委員会の鈴木真一福島医大教授は「内部被ばくのあったチェルノブイリ事故でさえ甲状腺がんは発生まで最短で4年。本県では広島や長崎のような高い外部被ばくも起きていない。事故後1年半しか経過していない本県では、放射線の影響とは考えられない」と東京電力福島第一原発事故の影響を否定した。 
検討委の座長を務める山下俊一福島医大副学長も検討委として同様の見解を示した。
鈴木教授らによると、子どもの甲状腺がんの頻度は100万人に1~2人といわれるが、通常はしこりを感じる本人の自覚症状などで数センチ大になってから見つかるケースが多いという。今回のように18歳以下全ての子どもを対象に精度の高い超音波検査を実施した例がなく、「比較はできない」としている。
首都大学東京大学院放射線科学域長の福士政広教授は「甲状腺がんの進行は遅く、現段階で原発事故の放射性ヨウ素を原因とする症状が出ることは考えられない。今回症状が確認された人は原発事故以前から発症していたはずだ」と指摘する。
 2012/09/12
福士氏については、リンク先をご参照ください。鈴木氏と山下氏については、ウエブに広く流布している次の書簡をご覧になればじゅうぶんでしょう。鈴木氏の発言「チェルノブイリ事故でさえ甲状腺がんは発生まで最短で4年」の真贋についえは、末尾の【追加資料】でご判断ください。

さて、内閣府ホームページから次のような資料が検索できます。これをダウンロードしてみましょう。ちなみに、この資料は、ふくしま集団疎開裁判の債権者側証拠(証拠説明書[10]124証)として仙台高等裁判所に提出されています。
【追加資料】
原子力委員会
チェルノブイリ原発事故後の健康問題
被爆体験を踏まえた我が国の役割 -唯一の原子爆弾被災医科大学からの国際被ばく者医療協力- 平成12229日長崎大学山下俊一 チェルノブイリ原発事故後の健康問題 1986426日未明、人類史上最悪の原発事故が旧ソ連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子炉4号炉で発生した。すでに14年が経過したが、数百万Ci(キュリー)の放射線降下物による環境汚染と一般住民の健康問題、さらに除染作業に従事した消防士や軍人の健康問題など懸案事項は今なお未解決のままである。むしろ経済状況の悪化や記憶の風化とともに…
日付:2011 524 サイズ:6,556バイト
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm
被爆体験を踏まえた我が国の役割
-唯一の原子爆弾被災医科大学からの国際被ばく者医療協力-
平成122000)年229日長崎大学山下俊一
 この資料の表2「ベラルーシ共和国ゴメリ州における小児甲状腺がん登録」から抜粋してみます…
年次毎総数

1985
1

1986
1
 チェルノブイリ事故 1986426
1987
4

1988
3

1989
5

1990
15

1991
47

… 以下、略 …




0 件のコメント:

コメントを投稿